DRBD10について
消費税の10%へが2019年10月にアップされましたが、DRBDも新しいバージョン10の開発がいよいよ始まっています。(10繋がりという事でご了承ください。)
DRBD10の注目すべき機能として次の3つを紹介します。
- PMEM によるキャッシュ・ジャーナルデータ
- イレージャーコーディング
- リソースチェーン
※内容は正式版リリースまでに 変更される可能性もあります。
PMEM によるキャッシュ・ジャーナルデータ
最近のLinuxで実装されている不揮発性メモリー(PMEM)を利用してパフォーマンスの向上を図る機能です。DRBDのメタデータはストレージの最後尾に記録されるので、ユーザデータの読み書きとメタデータへのアクセスが重なると、ストレージ上でHDDのヘッドの動きが頻繁になって速度が低下することがあります。PMEMを使うことで、この速度低下を緩和が期待できます。さらにPMEMデバイスをライトバックキャッシュとして使用し、遅延の影響を受けやすいシナリオでパフォーマンスが向上します。
イレージャーコーディング
DRBDは本来は2ノードでデータのレプリケーションを行います。いわゆるミラーリングのような動きになります。イレージャーコーディングはRAID5/6相当のデータ分散で、2ノード構成のDRBDよりデータ効率を向上させ、より多くのデータを保存できます。
データ効率は良くなる一方、RAID的なデータの管理に何らかの管理エンジン(CephにおけるRADOS)を使うはずなので、シンプルな2ノード構成に比べてディスクのアクセス速度はやや低下すると予想されます。
リソースチェーン
リソースチェーンは、1か所でも通信可能なネットワークがあれば、伝言ゲームのようにデータ複製が出来る機能です。例として次の図をご覧ください。
A、B、Cの3ノードは相互に接続されています。この場合ノードAでデータが更新されるとB,Cのデータも直ちに更新されます。ところがEへは更新されないことがあります。これはAとE間の直接の通信経路が無いことが原因です。そのためAからDへ更新されたデータはEにはただちに更新されません。リソースチェーンの機能により、よりリアルタイムで確実に、ノード間の更新ができるようになります。
利用シーンとしては、クラウド環境でサイト間をDRBD Proxyで接続することが考えられます。上の図のA、B、Cが東京リージョン、D、Eが大阪 リージョン である場合、現在のDRBD9ではサイト間の接続数は最低4回線になりますが、DRBD10のリソースチェーンを使うと1回線におさえることができます。
DRBD10 は開発が始まったばかりで、先日アルファ版が公開されました。DRBD9の開発は2011年に開始され、正式なリリースは2015年でしたので、DRBD10も正式版の公開までは数年かかると思われます。最初の安定板のリリースは2020年の予定です。
まだまだ先の話になりますが、DRBD10の正式リリースにご期待下さい。