古いOSの利用はやめよう
はじめに

先日、LINBIT社から興味深いニュースレターが届きました。
ヨーロッパの某大手製造業がDRBDを導入しましたが、システム構築中に「パフォーマンスが出ない」というクレームがLINBIT社に寄せられたそうです。
サポートチームが原因を調査したところ、某社で使用されていたOSは CentOS 7でした。そこでOSを最新の AlmaLinux 9 に変更したところ、劇的に性能が向上し、期待通りの結果が得られたという話でした。
なぜ古いOSだとパフォーマンスが出ないのか?
今回はその理由を、技術的な視点から考えてみたいと思います。
なぜ「OSの古さ」が性能問題につながるのか?
システムのパフォーマンスは、ハードウェア性能だけでなく「OSの新しさ」に大きく左右されます。特にLinuxの場合、カーネルは年々進化し、CPUやストレージ、ネットワークといった最新ハードウェアの性能を引き出す最適化が施されています。
古いOSに搭載されている古いカーネルでは、こうした最適化が不十分です。たとえばCentOS 7が採用するLinux 3.10カーネルは2014年の技術で作られており、現在の高速なNVMe SSDやマルチコアCPUを十分に活用できません。I/O処理やメモリ管理の効率が悪く、アプリケーションの性能が頭打ちになる原因になります。
さらに最近のLinuxカーネルでは、高速な非同期I/Oを可能にするio_uringなど革新的な機能が追加され、劇的な性能向上が実現されています。古いカーネルでは、これらの恩恵を受けることができないのです。
「OSは動けばいい」と考えがちですが、パフォーマンス面では確実に最新のものが有利です。
ベンダーサポートとEOL(End of Life)のリスク
古いOSを使い続ける最大のリスクは、ベンダーサポートの終了(EOL)にあります。サポートが切れたOSは、セキュリティアップデートやバグ修正が提供されず、脆弱性を突かれるリスクが一気に高まります。特に企業システムでは、情報漏えいやサービス停止など重大な事故につながる恐れがあります。
さらに、最新ハードウェアや新しいソフトウェアは、古いOSでは動作保証外となるケースが増えています。ドライバやライブラリの非対応、互換性の問題が発生し、思わぬトラブルの原因になります。
今回の事例でも、古いCentOS 7の環境ではDRBDの性能が出ず、最新のAlmaLinux 9へ移行することで問題が解決しました。これは、OSが提供する機能や最適化の差によるものです。
安全性・性能・安定運用のためにも、EOLを迎えたOSは速やかに更新することが重要です。
OS更新の重要性と推奨される選択肢
現在、CentOS 7の後継としてはAlmaLinux 9やRocky Linux 9が有力な選択肢です。どちらもRHEL互換の無償ディストリビューションとして実績があり、商用サポートも充実しています。もちろん、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)9や、今後登場するRHEL 10にも注目です。
システム導入時には「OSの鮮度」にも目を向け、長く安心して使える環境選びを意識しましょう。
今回の事例は、「古いOSを使い続けるリスク」を改めて突きつけるものでした。OSは単なる土台ではなく、システム全体の性能や安定性、セキュリティに直結する重要な要素です。特にLinuxはカーネルの進化が早く、最新の技術やハードウェア性能を活かすためには定期的なOS更新が欠かせません。
まとめ:システム性能はOS選びから始まる
EOLを迎えたOSはセキュリティリスクだけでなく、性能劣化や製品サポート切れの原因にもなります。今後の運用を見据え、RHEL 9、やAlmaLinux 9、Rocky Linux 9など、現行の安定したディストリビューションへの移行をぜひ検討してください。
性能トラブルを未然に防ぎ、安心して使い続けられるシステム運用のためには、「OSの選定と更新」が極めて重要です。